阪大レーザー核融合研究所取材

3月8日に、

大阪大学にある核融合研究の施設に見学に行きました。

この施設では、「慣性核融合」という方法で核融合を起こす研究を

行っています。

慣性核融合というのは、

「慣性」という性質を利用した「核融合」ということです。

核融合を起こすためには、

「高温」、「高密度」を、「十分な時間」保つことが必要ですが、

レーザーを使い、ごく小さい空間を高温高密度にしてしまうのです。

そうすると、その高温高密度の空間はどんどん広がろうとするわけですが、

慣性の法則により、広がるのに有限の時間が必要なわけで、

広がりきってしまう前に核融合を完了させてしまおうというのが、

慣性核融合、というわけです。

堅いですが、くわしいサイトです。

http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/07050110_1.html

やわらかめです。

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/4328/research5.htm

素粒子のときもそうですが、物理の実験施設は大きくて驚かされます。

(すべて大きいわけではないのですが。)

阪大のレーザーは12方向から一様にエネルギーを集中しないといけないため、

まずレーザーを生成する施設自体が巨大で、

そのレーザーを発射する施設も、ビル5回はあろうかという吹き抜けの巨大な空間に

3次元的にあらゆる方向からレーザーの

管が張り巡らされ、圧巻でした。

その模様も、もうすぐSCIで動画つきで公開する予定です。

取材先の高部先生のお話で印象的だったのは、

核融合による発電は、超長期的に見るべきで、核融合という大きな枠組みの中で、若い力を取り入れ、さまざまな周辺領域、学際領域の研究を育てていくべきである」

ということ。これは繰り返し強調されていました。

たしかに、核融合研究の黎明期には「あと30年でエネルギー問題は解決される」

などとうたったのに、そこまで簡単に核融合発電を実現することはできませんでした。

ただ、そういった期待から巨額の投資があったのも事実で、

核融合研究の役割は核融合そのものから核融合を含む周辺領域の科学を育てていくことにまで、意味合いが変わってきている。研究は時々刻々その意味・意義が変わっていくもの」

と先生はおっしゃっていました。

また、『核融合発電の方法はどうなるか、見通しは立っていますか?』という質問に対しては、

「その答えは、人によっても変わってくる」とおっしゃられたことも

印象に残りました。

ある人が、トカマク式で成功するだろうと言っても、ある人はレーザーを使った慣性核融合だと言うかも知れない、それくらい未知なもののようです。

核融合の未来について、また、核融合までのエネルギーについて、

こういった方々をお招きして、

パネルディスカッションなどを行えたら面白いのではないかと考えています。



岩間祐典